読書『道をひらく』

読書

日本を代表する家電メーカーPanasonicの創業者である松下幸之助が雑誌『PHP』に執筆していたコラムをまとめたのが、この『道をひらく』。日本を代表する名経営者の人生哲学や経営哲学が多彩な文章で表現されています。初版は1968年とかなり前の本ですがその内容は現代にも通ずるものが多く、心に残る言葉が次々に飛び出します。

私が特に気に入っている文章をいくつかご紹介します。一つ目は、「さまざま」というコラムからです。

さまざまの人があればこそ、ゆたかな働きも生み出されてくる。(中略)ちがうことをなげくよりも、そのちがうことのなかに無限の妙味を感じたい。無限のゆたかさを感じたい。そして、人それぞれにちからをつくし、人それぞれに助け合いたい。

『道をひらく』

ダイバシティについてあれやこれやと議論する現代ですが、松下は50年以上も前に人々の多様性を認識し、また多様な人間が集まって働くことの重要性を説いていました。それなのになぜ我々は平成を飛び越した今になってもまだまだこんな議論を続けているのでしょうか(松下は平成元年の4月に亡くなっています)。次は「本領を生かす」というコラムより。

完全無欠をのぞむのは、人間のひとつの理想でもあり、またねがいでもある。だからおたがいにそれを求め合うのもやむを得ないけれども、求めてなお求め得られぬままに、知らず知らずのうちに、他をも苦しめ、みずからも悩むことがしばしばある。だがしかし、人間に完全無欠ということが本来あるのであろうか。

『道をひらく』

完璧な人間なんていない、という意味の言葉はこの本の中で繰り返し登場します。人は完璧たりえず、誰しも得手不得手があることを理解しているし、自分自身が完璧であるという驕りもありません。だからこそ、「さまざま」で述べたように多様性を大切にし適材適所で支え合うことを理想としたのでしょう。

鋭さと優しさを兼ね備えた数々の言葉にハッとさせられます。ひとつのコラムが2ページ程度に収まっているため、隙間時間にひとつずつ読み進めることもできますので、ぜひカバンに入れて持ち歩いて欲しい一冊です。

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